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『MIKI VINTAGE DRUM PARTY vol.1』が大阪にて開催されました!

去る6/16(日) ビンドラ好きにはたまらない1日、
『MIKI VINTAGE DRUM PARTY vol.1』が大阪にて開催されました。

会場はアンティークな雰囲気がピッタリの『大阪北新地ピアノバーMisty』
実は、筆者はここでヴィンテージドラムのイベントを数年前からやりたいと
ずっと思っていました。

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5月中旬にシカゴにて買付けたヴィンテージドラム、シンバル、ハードウェア、パーツ、カタログ、カウベル等を所狭しと会場に展示。
イメージ通り、レトロかつアンティークな会場ができあがりました〜!

このイベントは、通常のクリニックとちがい、ゆったりとした空間でお酒を交わしながらヴインテージドラム好きが集い、語り合い、時には音を出しながらその年代やブランドの違いを味わい、共有するゆるいイベントです。
(マニアックかな?!)

さて、15:20にいよいよ本編スタートです!

今回は記念すべき第一回目ということで、東京から
小宮勝昭氏(*元リズム&ドラムマガジン編集長、現在はかんぱち、他でドラマー&パーカッショニストとしてご活躍)
と大阪から三浦晃嗣氏(*Dr.K Project他フリーランスのドラマーとしてご活躍中。ライター、クリニシャンとしても活動)
をおよびしてトーク形式で実演を交えながら、日本でのヴィンテージドラムの簡単な歴史の流れ、ブランド別のサウンドの特徴、ラディックメタルスネアの年代識別方法とそのサウンドの違い、ヴィンテージシンバルの特徴、ヴィンテージスタンドによるシンバルサウンドの違いを1つ1つ検証していきます。

まずは、お二人のヴィンテージドラムとの出会いを語ってくれました。
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三浦さん曰く、日本では、1970年頃は楽器店でもヴィンテージドラムという概念がなく、
当時はただの中古品としての扱いだったそうです。
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980年代にジェフ・ポーカロがslingerlandのRADIOKINGスネアを使用してから、一気にVINTAGE DRUMがメジャーになりました。

たVINTAGE DRUMはテンション数が現行品よりも少ないのが特徴で、今回の演奏も三浦さんは6テンションのスネア、
LUDWIG 60S PIONEER MODELをチョイス。
より豊かな倍音が出て素晴らしいが、実は6テンションはチューニングボルトが少ない分チューニングが難しいとのことです。

また三浦さんは、当時レコーディングの現場でドラムのワッシャーを変えたりいろいろとカスタマイズしてサウンドを追求されていたそうです。

当時はまだレコードショップで楽器が販売されていた時代。
その店のショーウィンドウにラディックのアクロライトスネアやスピードキングペダル飾ってあり、購入されました。

アーティストへの憧れからVINTAGE DRUMを購入されることも多いとのこと。
例えばハナ肇さんのOLD GRETSCHなどは憧れの的。
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そして、いよいよ参加者からの質問もありました。
『LUDWIGメタルスネアの年代識別方法、サウンドの違い』
をビンテージドラムに精通している小宮さんよりレクチャーがスタート!

まずはラディック合金の『ラディアロイシェル』と60年代前半のSUPER LUDWIGに代表されるCOB(クロームオーバーブラス)のサウンドの違い。
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三浦さんは事前に当店店頭にて全ての年代を試奏され、そのサウンドを円の形に例えて説明してくれました。
『ブラスシェルはその円形の部分が大きいサウンド』と表現。

また、『ドラムは自分にどれだけ響くか』が一番大事と名言も頂きました。

小宮さんより、64年のFIRST GENERATIONからSECOND GENERATIONの流れ、ブラスリムは当初2.3mmから薄くなるetc…
このイベントに参加しないと聴けない、お宝的なマニアックなお話が盛りだくさん!(*これでも時間の関係で全ては語られていませんので、続きは次回にレクチャー予定です。)

また余談としてプラスティックヘッドは1950年代から登場。
それまでは本革ヘッドが標準装備されていたお話や、国産ヴィンテージのKRUPA(クルーパ)が実は意外と良い(JAPANESE RADIOKING)等の秘話も教えてくれました。
第一部の締めとして、ゲストの小宮勝昭さんのOLD GRETSCH 16”BD 3点セット&50S 4175 MAXROACH、OLD ZILDJIAN 40S&50S A シンバルによるドラムソロがスタート!
マレットから始まり、途中でスティックに持ち替え、ヴィンテージドラムも良さを十二分に引き出してくれました。

<小宮氏機材リストは下記の通りです>
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DRUM SET: GRETSCH BD16” SPECIAL 3PC SET JET BLACK NITRON 16″,12″,14″
SNARE:GRETSCH 50S #4175 MAX ROACH WHITE PEARL 14″X4″
HH CYM:ZILDJIAN 50S A 14″ SMALL STAMP 771g,791g
CRASH CYM:ZILDJIAN 40S TRANS STAMP A 18″ 1708g
RIDE CYM:ZILDJIAN 50S A LARGE HOLO LOGO 20″RIDE 1837g
HH STAND:LUDWIG 60S ATLAS #1123-1
SD STAND:*小宮氏私物 SLINGERLAND スネアスタンド
CYM STAND:LUDWIG 60S #1400 FLAT BASE X2
FP:*小宮氏私物 GRETSCH FLOATING ACTION PEDAL

第一部ヴィンテージドラムセット&スネア編終了後は30分間の試奏&商談タイム。
参加者の皆さんは、各々に興味のある楽器を試されたり、当店スタッフに質問したりと興味津々でした!

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第2部 ヴィンテージシンバル&ハードウェア編がスタート!
まずは、両氏より昔の40年代、50年代のシンバルは質が柔らかい話。
実際にビンテージシンバルを両手で曲げてみたら、皆さん驚きの表情!
その後、三浦氏よりシンバルの硬い音の成分、柔らかい音の成分はその
奏法から大きく音に影響するお話を伺いました。

そしていよいよ、シンバルスタンドにより、同じシンバルがどれだけ
サウンドが異なるかの実験がスタート

使用したシンバルは50S SMALL STAMPのOLD A ZILDJIAN
実験に使用したシンバルスタンドは

1、 CANOPUS CCS-1F
2、 TAMA HC52F
3、 OLD LUDWIG 60S #1400
4、 OLD SLINGERLAND 60S FLASH BASE CYM STANDの4種類です。
あえて、形状が近いフラットベースタイプのシンバルスタンドを使用。

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*サウンドの詳細はMIKI DRUM CENTER公式アカウントtwitter,6/16投稿の動画をご参照ください。ここではあまり詳細はお伝えしません。)

CANOPUSのみパイプ上部が空洞になっており、TAMA,LUDWIG,SLINGERLANDは空洞ではなく、鉄が詰まっているアーム。

検証した結果、参加者皆驚いた通り、想像以上にサウンドがここまで違うのか
と言う結果です。みなさんシンバルスタンド上部パイプを実際手に取り確認していたのが印象的です。

パイプが太いとパイプの中で振動が『グオー』となて本来のシンバルの良い音の成分が伸びないのでないかといった結論に到達しました。

次のコーナーは、ゲストのおふた方がヴィンテージドラムのサウンドに影響を受けた曲や良いサウンドで憧れた音源を実際に会場でかけて紹介する
コーナー。

まずは、三浦さんが小学6年生の頃に影響を受けた、ベンチャーズのライブ・イン・ジャパンのサウンド
セットは当時のGRETSCHにスネアはLUDWIGのJAZZ FESTIVALの組み合わせ。
次にはビートルズの『HELP』や『YELLOW SUBMARINE』を流し、そのLUDWIGスネアサウンドを十分に堪能。
その後、ラスカルズ、THE WHOのキース・ムーンのドラミングが流れ、スネアチューニングの高さの話、ボトムヘッドのチューニングの重要性、録音技術とともにドラムサウンドが大きく変遷してきた話、マイクの位置にはかなりこだわる話など盛りだくさんの内容。

次に小宮さんによる音源の紹介。
まずはデビッドサンボーンのスティーブジョーダンのドラムサウンドから始まり、鉄板とも呼べるレッドツエッペリンのジョンボーナムの『GOOD TIMES BAD TIMES』、50年代のアートブレーキーによるGRETSCHドラムサウンド。
最後にはBLACK DUBのブラインアン・ブレイドによるRADIOKINGセットでのサウンドを参加者皆で共有しました。
実際に、ヴィンテージドラムがアンサンブルに混じるとこのようなサウンドになるのか?!といった表情で聴いていました。

次は参加型のコーナー。『あなたのVINTAGE DRUM自慢大会』

なんと、今回の参加者、ドラムではなく、VINTAGEのドラムカタログを100冊持ってきてくれた方がおられました!?

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メーカーごとに会場のテーブルに並べ、持ち込まれた方がその時代背景から、詳細までを語り始めました。
VINTAGE YAMAHA、PEARL、TAMA、ニッカンドラム,etc…
皆が食い入るようにカタログを覗き込む様子が印象的でした。
今回のイベントに花を添えてくれました。ありがとうございます。

そして、いよいよゲスト三浦晃嗣さんによるドラムソロ!

まずはヴィンテージドラムサウンドの曲紹介でも登場した、キースムーン風
のドラムソロからスタート。
その後は、LUDWIG 60s CLUBDATE3点SET、60s PIONEER 6テンションスネア、OLD A ZILDJIANシンバルでの演奏は、細かい表現から力強い
ドラミングまで十二分にヴィンテージドラムの良さを引き出してくれた素晴らしい演奏で幕を閉じました。

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<三浦氏機材リストは下記の通り>
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DRUM SET:Ludwig 65’-67’ CLUBDATE OYSTER BLUE PEARL3点SET 20” 12” 14”
SNARE:LUDWIG 65’ PIONEER GALAXY SP 14″X5,5″ 6LUGS
HH CYM:ZILDJIAN 50S OLD A SMALL LOGO 14″ FLANGE HH 745g&832g
CRASH CYM:ZILDJIAN 50S OLD A SMALL LOGO 18″ 1592g
RIDE CYM:ZILDJIAN Early 60S OLD A 20″ 1869g
HH STAND:ROGERS 60S SWIV-O-MATIC HH STAND #4401
SD STAND:LUDWIG 70S ATLAS
CYM STAND:LUDWIG 60S #1400 FLAT BASE X2
FP:*三浦氏私物  LUDWIG 60S SPEEDKING L-201

ヴィンテージドラムという少しマニアックなジャンルでのイベントでしたが、
まだまだ語り尽くせないほどの情報もあります。
ドラムだけでなく、シンバル、ハードウェア、カタログまで、ヴィンテージにしか醸し出せない魅力を存分に満喫できたイベントでした。
また、次回にどこかの会場で続きをできればと思います。

この場を借りまして関係者の皆様に御礼申し上げます。

三木楽器ドラムセンター 店長 上原 貴生

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About the author

MIKI DRUM CENTER 店長 上原 貴生 高校1年生の1980年代バンドブームの時、ドラムセットに魅了されドラムをはじめる。 その後、大学進学後もオリジナルバンドを中心にFUNK MUSICに傾倒。 ドラム、音楽をきっかけに、人と知り合い、音楽について熱く語りあうことが好きで、三木楽器に入社。 2009年より、大阪梅田にドラム・打楽器専門店MIKI DRUM CENERTオープン。 現在も、千里モータウンのドラマーとしてプレイ。

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