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サウンドスタジオノア主催「五十嵐公太Presents Drums & X (Others) 」FINAL!!

2015年4月12日、サウンドスタジオNOAH野方店にて、五十嵐公太さんのドラムクリニック「五十嵐公太Presents Drums & X (Others)」が最終回を迎えた。

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このイベントは、1人のゲストを迎えてセッション有り、トーク有り、笑い有りの1時間30分となっており、毎回好評を博してきた。この最終回も大盛況の内に幕を閉じた。
FINALのゲストは、ついに登場、 河村”カースケ”智康氏!!

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クリニックは公太さんとカースケさんのセッションでスタート!
満場のお客様にまずは「ドラマーの人?」と問いかけると9割近くが手を挙げた。

まさにドラマーによるドラマーのためのクリニックだ。

両氏のトークが始まると、まず話題になったのがカースケ氏の使うドラムセットの低さ。タム類はすべて真上を向いて沈み込むようにセッティングされている。

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公太さんも「低い!」を連発するほど。
本人の「『最低の』セット」という自虐発言も飛び出すものの、ドラムに埋まっていたい感覚から結果こうなったとのこと。

また、師匠を持たず、誰からも正式にドラムを習ったことがないという。カースケさんのスタイルは真に自己流で生み出されたものなのだ。

ドラマーにとって興味津津の内容が明らかにされる一方、運転免許を7回更新したが、写真の見た目が1ミリも変わらないという驚異的な事実も。

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そして観客の質問アンケートをもとにした質問タイムに突入。

【Q1:いままでどのような練習をしていましたか?】

ルーディメンツのような基礎練習はほとんどしたことがありません。なので、ひたすらコピーしていました。アーティスト、曲の雰囲気に自然に入り込んでいけます。コピーするうえで意識していることは特にないが、ガツンと叩くことは忘れないようにしている。

 

【Q2:スネアの真ん中を叩いていないが理由はありますか?】

ベンチャーズが好きなんですけども、メル・テイラーの叩くスネアの音が甲高いカン!という音なんです。その音に近づける為、ヒットポイントを変えていったらこうなった。良いか悪いかわからないが癖になっていてもう元に戻すことはできません。

 

【Q3:会場の大きさと人数でプレイの意識は変わるか。】
とくに変わりません。お客さんとの距離で緊張とかはするけど、ドラムを叩くということは変わらないので、そういった意味では変化はないかな。大きい会場も小さい会場もそれぞれ面白さはあります。

 

【Q4:今まででこれは失敗したという経験は?】
これはよくあることです。「これは完璧!」っていうことは、ほとんどありません。100点だと思ったことはないね。プレイ後は反省点が多いし、リハでもライブも一緒で、この感覚がなくなってしまったらやめると思う。人がプレイしているのはすごく良く見えるけど、叩いている本人が納得していないことは多いと思う。

 

【Q5:譜面は読めたほうがいいですか?】
自分もあんまり読めません。ですが、ルール通りではなくても自分だけがわかる譜面でもいいから書けた方が、構成を覚えられないときとかに便利です。

 

【Q6:チューニングのコツとはなんでしょうか?】
具体的な数字ではなく、自分のニュアンスだから一概には言えないですが、表と裏のピッチを同じにしてから、裏面を少し上げる。こうすることで音に芯が出てサスティーンも伸びる。「表はピッチ、裏は音色」として調整しています。人それぞれの好みもあるけど自分はこうしています。

 

恥ずかしがり屋だというカースケさんですが、
一つ一つの質問に懸命に答える姿が印象的でした。

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実演では、椎名林檎の「正しい街」とJUJUの「やさしさで溢れるように」を披露。
「正しい街」は、デビューアルバム「無罪モラトリアム」の1曲目として有名だが、カースケ氏によると、同じデビューアルバムつながりで、レッド・ツェッペリンの「I」収録の1曲目「Good Times Bad Times」を意識していたという。なかなか興味深いエピソードだ。

また、「やさしさで溢れるように」に関してはBPMが約80という、速くなってしまいがちな非常にやりにくいテンポだが、曲そのものの良さが曲の世界に入り込む余地を与えてくれるため、いい具合にテンポキープができるのだそうだ。これもコピー練習をひたすら続けてきた強みのひとつなのかもしれない。

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その後、どんなドラムセットでもその人の音になるという話題から、お互いのドラムセットを交換しプレイをするという貴重なシーンも見られた。

「低い・・・低いっ!」と何度も漏らす公太さん。

カースケさんは、なんと20年振りに2バスに挑戦。

せっかくだからと踏みまくり、「明日は筋肉痛だな」と一言。

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そして2人ともお互いのセットで確実に自分の音をものにしていた。

さすがとしか言いようがない。

最後に自身のセットに戻り、もう一度セッションを行い大盛況のうちに幕を閉じた。

終演後には、ドラムセットを間近で見たり、写真を撮ることができるという貴重な時間が設けられた。

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本番終了後、2人そろってお話をお伺いすることができた。

【Q1:このクリニックそのものの開催目的とはどんなものでしょうか?】

五十嵐公太:様々な方と一緒に行うことで、1人ではできない内容を実現すること。また、お客さんとの距離の近さを有効利用した1歩踏み込んだ会話や内容など、通常のクリニックでは体験できない内容にしたかったことですね。

 

【Q2:その距離の近さは、本日のクリニックでもいかんなく有効性が発揮されていましたが、実際行ってみての感想をお願いします。】

カースケ:緊張はしました。何度やっても慣れないものです(笑)

五十嵐公太:やっぱり生の音を間近で聞いてもらいたいですから。最近はYouTubeで満足している方も多いと思うのですが、やはり生の音というのは全然違うのでぜひ聞いてもらいたいですね。

 

【Q3:今まで多くのゲストをお招きしましたが、オファーは公太さん自身がなさっています。オファーはどのように行っていますか?】

五十嵐公太:交友関係のみですね(笑)

 

【Q4:カースケさんは選ばれていかがでしたか?】

カースケ:嬉しかったですが、自分はこういうのは苦手でして・・

 

【Q5:公太さんの意外な接点が垣間見えますね。】

カースケ:ドラマーって横の繋がりが多いんだけどね、実際一緒にドラムを叩くという機会はあまりないと思うんですよ。こういったクリニックは非常に面白いよね。なんか、イエーイってなる! これはドラムだからできる特性だと思うよ。

五十嵐公太:ドラムってルールが細かくなくても一緒に出来る楽器だと思います。

カースケ:叩くだけってのは難しくなくて非常に一緒にやりやすいね。

五十嵐公太:それと、ドラマーって良い人が多い気がします(笑)他のパートってイメージですが厳しい方が多いように感じますね。とくにギタリスト(笑)

カースケ:鍵盤の人の方が厳しいよ(笑)

 

【Q6:ライブやPVではクールな公太さんのイメージがありますが、実際はフランクにお話しなさってますね。ギャップと言いますか、そういうのがバレるのは大丈夫なんでしょうか。】

五十嵐公太:(笑)大丈夫です!気にする人だったらこういった企画は行っていないと思いますよ。そういう歳でもないですから(笑)

 

【Q7:以前カースケさんのリハーサルを見させて頂いたのですが、佇まいがめちゃめちゃかっこ良くてですね、何といいますか、日本人離れしているといいますか・・・。】

カースケ:(笑)宗教感があるよね、俺!

 

【Q8:本編でも質問がありましたが、カースケさんのセットはいつ頃からあの低さになったのですか?】

カースケ:そーだね…、最初は低くはなかった。自分のバンドがデビューしたころ、何かセッティングで面白いのないかなと思っている中で、好きなドラマーが割と低いセッティングの人が多いことに気付いた。その影響が強いかな。それだけ。

 

【Q9:最初は叩きづらさもあったのではないでしょうか。】

カースケ:いや、叩きづらいとかそういう問題じゃなかった(笑)見た目オンリー!今やあの形からは逃れられないよ。

五十嵐公太:イスの低さは尋常じゃないですよ(笑)

カースケ:ニトリで買えるんじゃない?(笑)おしりにも優しくて良いんだよ。ドラマーは居住性大事だね。

 

【Q10:居住性(笑)】

カースケ:ドライビングポジションと一緒で低いと落ち着くんだよね。最低ですから(笑)

 

【Q11:叩いている時に姿勢が前のめりになっていますが、目線はどのあたりを見てますか?】

カースケ:うーん、特に意識もしてなければ理論とかもないかな・・・ハットらへんを見てるかな。

 

【Q12:では、最後に今回でラストのクリニックとなってしまいましたが、シーズン終了を迎えての感想をお願い致します。】

五十嵐公太:自分が本当に見たいドラマーと一緒に行えました。この距離で一緒に演奏できることは、そうそうないですし、1人ではできないこの時間は自分にとって幸せです。今回もカースケさんを間近で見ることができましたし、改めて気づかされる部分も多かったです。この気持ちをお客さんにも分けてあげたいという気持ちもあります。

カースケ:今回、公太が引きずり込んでくれて良かった。何度も言うけど、一緒にプレイするチャンスはなかなか無いのでありがたい限りです。

五十嵐公太:ツインドラム自体、ライブでやることはそんなにないですもんね。今の若いドラマーは、生でプロの演奏を見てないと思うんですよ。やはり、生で感じる音はまったく違います。カースケさんはこんなにロック・ドラマーなんだ! って感じるハズです。

カースケ:体感や経験っていうのは素晴らしいもので、モチベーションも上がりますしね。

 

【Q13:それを証明するように、今日見に来られたお客さんもイベント終了後そのまま個人練習に入られる方が多かったです。NOAH的にもありがとうございます。】

両名:(笑)

五十嵐公太:ライブやこういったクリニックに足を運んで、とにかく肌で感じてほしいです。若いドラマーには特に見てもらいたいですね!

カースケ:そうですね。そう思います!

 

お忙しい中、本日はありがとうございました!

両名:ありがとうございました!

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ライブ会場とは違うリハスタの特性を、最大限に有効活用したこのクリニック。
今回のシーズンは終了となったが、またの再開を切に願う!
そのときは、ぜひ足を運んでみてほしい!

 

【番外編:五十嵐公太のKIT】

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【番外編: 河村”カースケ”智康のKIT】

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About the author

サウンドスタジオノア田園調布店店長。 好きなドラマーはジョン・ボーナム、チャーリー・ワッツ、トニー・ウィリアムス、川西幸一さん。 中学生のころ、ローリング・ストーンズ初来日公演をテレビで見て、 一番おじいちゃんに見えたチャーリー・ワッツに衝撃を受けてドラムを始める。 その後、ユニコーンのコピーバンドで「大迷惑」が叩けず、バンド内人事異動でギターに転向。 以降、ドラムとは愛憎関係が続いている。 ドラムがカッコよければ、どんなバンドもカッコいいという乱暴な考えを持つ。

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