UMEJUN です。
「4649ドラム」に投稿させて頂く事になりました。
「あんた誰」と思われることでしょう。
何者かと言いますと、、、
アメリカで行われる日本人アーティストのレコーディングやライヴの制作において、現地でのコーディネータとして活動しています。
自分の住むLA を中心に、自分勝手な話題を不定期でお送りしていきます。
で、
記念すべき、Vol. 1 !!
。。。。。
文才ないので、すでに何から書こうかと悩みに悩み、、、
そもそも、何事も長続きしない自分のケツを「続けてバシバシ」と叩いてもらう覚悟で挑むことになるため、迷惑かけてしまうのではなかろうかと心配もあり、、、
あぁ、「続けてバシバシ」と叩いてもらうと言えば、、、
無理矢理なイントロだけど、このテーマで。
【西の”KING OF THE GROOVE” James Gadson (ジェームス・ギャドソン)】
今から18年程前(そんなに経つのか、、、)、おいらはJames Gadson のローディーでした。その前後で3年間程やってた気がする。
James Gadson から教わった事は多かった。James 本人からもそうだけど、James との関わりでの出会いが今の自分の生活を作る事になった。日米共に。
昔程頻繁には会えないけど、今でもJames とは連絡取り合い、機会があればレコーディングのオファーをしている。あの方のようなドラマーは今後現れないからね。
と、ここまで書いて、「James Gadson というドラマーを知らない人がたくさんいたりするのではないか、、、。」という不安が。。。
簡単に説明すると、James Gadson は70年代にアメリカ西海岸でスタジオミュージシャンとして最も多くの作品に参加したドラマーです。参加したアルバムのゴールド&プラチナディスクの数は300枚を超えると言われている。そして参加アルバム数は3000枚以上。要するに無数で本人ももはや分かってません。どれが発売されて、どう使われているか、もはや追いついていない。でも間違いなく全米No.1。大物アーティストだと、マイケル・ジャクソン、ジェームス・ブラウン、マーヴィン・ゲイ、ドナルド・フェイゲン、アニタ・ベイカー、ポール・マッカートニー、ベック、パティ・ラベル、、、(終わらないのでウィキって下さい)。そんなJames Gadson は、いつも優しく偉大で、誰に対してもイーブンだ。
9月にJames Gadsonと久しぶりに仕事をした。もう70歳を過ぎているが、グルーヴは健在である。激動の1970年代のLA を走り抜けたJames Gadson 。まだまだ衰え知らずなのがすごい。
現在はDW と契約のあるJames だけど、そのセッション日は諸々の事情により、James が70年代から使い続けているPearl のキット。ラッキー!!
キックはファイバーグラスの24インチ。
タムとフロアは素材不明のウッドで、13、14、16。
シンバルは古いジルジャン。
ハードウェアも含め、70年代から使用し続けているものが多い。アメリカの音楽史の相当な楽曲のビートがこのドラムで作られて、しかもそのドラムが純粋な日本製であることにも胸が熱くなる。そう言えば、ビル・ウィザースの頃はまだLudwig だったけど、どっかの時期でPearl になってる。おそらく70年代中頃かな。。。本人はこのキットは69年ぐらいと言っていたけど、ファイバーグラスは70年入ってからの物なんで、やはり70年中頃かな。今度本人に聞いてみるか〜。
ハードウェアもヘッドも、全て壊れて使えなくなるまでは自分の大事な道具として使い切るのがGadson 流。これこそがファンクの基本だと言わんばかり。
実は、このキットは2台の同じサイズのキットを組み合わせてある。もう一つのキットというのは、
キックがウッド。
タムとフロアがファイバーグラス。
そうです。なぜかキックだけが入れ替わってます。。。
このもう一台のドラムキットはJames の自宅にあり、DW と契約するまではLA 市内でのライヴの時に必ず使っていました。おいらが毎晩運んでいたキットがそれでした。
自分「師匠、何故キックだけ入れ替えたんでしょう?」
Gadson「ふっふっふ。ファイバーグラスのタムの方が音が大きいからさ。」
自分「タムの音が大きい方が良いのですか。」
Gadson 「楽だろ?」
忘れもしないこの会話。。。。
実は、他にも理由があったのだと思われる。
タムの裏ヘッドとキックのフロントヘッドを取り外してあるのですが(この理由も話すと長くなるので省略)、ローカルのライヴの時にはバスドラの中に13インチのタムを入れて、16インチのフロアには14インチのタムを蓋代わりにして運んでいた。フロアタムの中にはペダルや椅子の頭部分を突っ込んだ状態でコンパクトにして運んでいた。
グラスファイバーの方が薄く、しかも軽いというのが他の理由だったのではないだろうか。これは推測だけど。
しかし、この前はレコーディングしながら、その音を聴くと別の事も感じられた。レコーディングではマイクを間近に立てる為、グラスファイバーに比べてウッドのタムの方がやや高音域がカットされて、ウッドの暖かみがあるように思われる。ライブの時に比べて、レコーディングでのJames はソフトに叩いているので、より暖かく感じる。
厳密な事はわからないけど、なにはともあれ James Gadson の音は暖かい。レコーディングで聴くとその暖かさは凄く良く伝わり、音で空気を埋めてくれる。
暖かいとか、音で空気を埋めるとか書くと、なんだか話を膨張させたキザなファッション雑誌みたいになるなー。おえっ。
でも、本当。
James Gadson を”The Great James Gadson” とライブ中に紹介するバンドメンバーをたくさん見てきた。それは、James Gadson 本人の暖かい性格と、その性格から生まれるプレイと、一緒に演奏する人達が楽しくなるグルーヴから、そう呼ばれるようになったのだと思う。
次回は引き続き、James Gadson のレコーディングマジックについて続けてみます。