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アーティスト演奏の最後はシシド・カフカ氏!!
この日のメインアーティスト、シシド・カフカ氏の演奏が始まった!
セットリスト
1.theme
2.くだらない世の中で
3.Don’t be love
4.飛ベナイ鳥
5.キケンなふたり
先ほどのトークセッションでは緊張の色を隠さなかったが、幕があいた瞬間。それを吹き飛ばすかのような爆発的なドラムソロからスタート!
スネア、フロアタム、バスドラムという潔い3点セットからすごい勢いで音が出てくる。数多くの一流ミュージシャンからの支持を集める理由がオープニングの出音の時点でわかった。
曲がスタートするや、今度はセンターに立つボーカリストとしての圧倒的な存在感が全面に出てくる。攻撃的なロックナンバーが続く中で、体に染み込ませたというドラムのリズムはかなりタイト。 ボンゾの影響を受けたという手数の多さではなくストレートさで見せるドラムをまさに体現しておりシンプルなドラムセットと相まって、めちゃめちゃかっこいい!
途中のMCでは、ドラムは難しいことは一つもしてないのでとおっしゃっていたが、このスタイルははっきり言って誰も真似できない。是非一度ライブに足を運んでみて欲しい!
プレゼントじゃんけん大会
演奏終了後、参加アーティストの使用したサイン入りのヘッド(皮)とスティックのプレゼントが行われた。アーティストの握手つきで直接手渡しされ喜びの表情が印象的だった。
最後はファンの皆さんと参加アーティスト、スタッフも集まり集合写真!feel the SAKAE の合言葉とともにみなさん満足気な表情で今回もとても良い雰囲気で幕をとじた。
なんと今回はMASUO氏による個別のドラムセミナーまで!
今回の大分ではまだ終わりじゃない!
じゃんけん大会終了後、今回の会場T.O.P.S BittsHALLの2階にあるリハーサル・レコーディングスタジオにてなんとMASUO氏による個別のドラムセミナーも行われた。 お客さんが個別に持ってきたスネアの調整や、ドラムのお悩み相談など、その一部をご紹介したいと思う。
――お悩み:ボンゾ風のスネアの音を出したいのですが?
MASUO「では、スネアをお借りします。」
1, 2分ほど調整をかけて、少しずつボンゾらしいワイルドなスネアの響きにしていく。あるポイントまで行くといきなりそれらしい音になってくる。最終的にスナッピーを調整してわずか5分ほどで仕上げてしまった。
――お悩み:スネアの音がカンカンしすぎてあまり鳴らないのですが(若い女性の方)
MASUO「スネアを借りますね。なるほど、これは少しヘッドのテンションが張りすぎになってますね。張っているヘッドも結構厚めのやつだね。もしかしたらヘッドは薄めのやつ、アンバサダーエックスとかでもいいかもしれない。(叩いてみて)おお、確かにカンカンしてる。結構頑張って張りましたね、笑。」
若い女性の方「どれくらい張っていいのかとかがわからなくて」
MASUO「よくあるんですがあまり張り過ぎると、ヘッドの音がしなくなるんですよ。胴が鳴らなくなってくるから。さっきの状態だと(ヘッドしか鳴らなくて)ピーンという音しかしない。こうやって少し緩めると箱の中が鳴っている感じがするでしょ?」
少し叩いてみると明らかに叩いたあとの余韻が長くなっている。
MASUO「これは、裏面もかなり伸びすぎているから変えたほうがいいかもしれない。…ちなみに誰のドラムの音が好きなんですか?」
若い女性の方「FUZZY CONTROLのSATOKOさんです。」
MASUO「なるほど、(更に調整して叩いてみて)うん、ちょっとヘッドが厚すぎるのかも。これはエンペラーXっていうやつで二枚重ねにした上にドットがついてて、結構屈強な外国人が叩いても大丈夫なやつだね、笑。これを鳴らすのは結構大振りしないと鳴らないかも。(更に調整して)裏面は大丈夫だね、表を薄いやつに変えればいいと思いますよ。他になにかありますか?じゃあ、さっきトークショーで言ってたチェンジアップとか練習法について教えましょうか。」
フィルイン時のリズムよれなどに効くチェンジアップの練習法の実演や、ダブルストロークができない人のための実演指導。16ビートでのアクセントの移動の練習法。プロのように気持ちよい8ビートで叩くことができないという参加者に対しては、16ビートで感じながら、キックをしっかりとアタマ拍に合わせること。キックをする際の踏み込み法でかかととつま先を使い分けることで足をうまく使う方法。
うまくキックのリズムが取れない人はすべての拍でキックを踏み続けて負荷をかける練習などを教えていた。練習法に関してお客さんから出た質問を一つご紹介したい。
お悩み:「左手の音量アップをするためのコツや練習方法はありますか?」
MASUO「お、いいこと聞きますね、笑。僕はこういうワークアウトをやっています。ちょっと開けてもらっていいですか?」
一同驚く
MASUO「あとは左手を振りぬくスピードが重要ですね。音量を出したい場合、モーラー奏法とか色々あるんだけど、簡単にいえば力を入れずにスピードで音を出すということだね。同じストロークでも手をしなやかに使えばある程度の音は出せるようになる。これ以上に出したい場合は肩まで全体を使って振るような形になるけど、これをずっとやり続けるのは結構きついから、一度覚えてから小さい振りで同じようなことができるようにしていくのがいいかもしれない。あとは、左手でボールを投げる練習なんかもいいかも。多分みんな硬いから最初はオカマ投げみたいになると思うんだけど、笑。紙を丸めてゴミ箱に投げるとかでもいいし、左手がしなやかに動かせるようになるといいので、みんなやってみてください。」
一同拍手
80年代ディスコのスネアみたいな音が出したいというお客さんには、スネアの音を調整して紙を一枚のせる方法を伝授していた。
様々な質問にすごいスピードで対応できる経験値は本当にすごいの一言。特に感銘をうけたのが、あるお客さんから先ほどのチューニングセミナー教えていただいた表面と裏面の音階差を逆にするとどうなるんですか?という天の邪鬼な質問をうけてのやりとりだった。
MASUO「スネアを表を張り目で、裏をゆるめっていうのはやったことないな、じゃ試しにやってみよう。(調節してみて)おお、意外といいかも。うん、これはいいこと聞いたありがとう。結論アリだね、笑。」
ドラムのチューニングの正解は無いという奥深さとともに、どんなに経験があっても新たな試みをして偏見を持たずに良い物は受け入れるという姿勢。
筆者はドラマーではないが人間としてむちゃくちゃ勉強になった。参加者の方もドラムが本当に好きな方で質問が途切れることはなく、どんな質問にも親切に答えている姿がとても印象的だった。
参加者の声
何人かにお話を伺うことができたのでこちらもご紹介させていただこう。まずは地元大分で「FULL JACK」というバンドをやられているお二人組。野村さんと古田さんにお話をうかがった。
写真左から ドラマーの野村さん、ギターボーカルの古田さん
――今日はどういったきっかけで来られたんでしょうか?
古田「もともとここでボイストレーニングを習っていて、それでシシド・カフカさんが来られると聞きまして参加しました。」
ーーfeel the SAKAEに参加されるのは初めてだったかと思いますが、いかがでしたでしょうか?
古田「最高です!」
野村「楽しかったですね。悔いが残るのがじゃんけん大会ですかね。」
――野村さんはドラマーということですが、ドラマー目線で見てどうでしたでしょうか?
野村「チューニングとか知らないことがたくさんあって。レッスンとか通っているんですが自分で一番気持ちの良い音を探せとか、楽器にあった良い音を探せとかざっくりしたことしか教えてもらわなかったので、ドラムにもキー(音階)があるとか勉強になりました。」
――筆者もハイハットの中にティッシュ一枚挟むだけであんなに音が変わるとか初めて知りましたね。今回の取材は三回目なんですが、毎回違う試みをされているので勉強になります。
野村「各地で色んな味が出るってことですね。」
――そうですね。毎回違うようですね。では、最後にサカエに対して何か一言ありますでしょうか?
古田「僕はドラムやったことないですけど、もしやり始めたら最初のレギュラーセットはサカエで買います。」
野村「僕は他のメーカーのやつを使ってますが、ドラムセットの音の説明とかを詳しくしてもらって知らないことがたくさんあってすごく勉強になりました。」
古田「普通のショップだと教えてくれないもんね。そこまで折入った話もしないし、試打もできないし。」
野村「そうそう。来てよかったと思います!」
――ありがとうございました!
もう一組、最後の最後MASUOさんのドラムセミナーまで残っていた方にもお話を伺った。左からドラムを習っているという斎藤さんと、お友達の本藤(ほんどう)さん。
――今日はイベントを知ったきっかけを教えてください。
斎藤「私は友達から教えてもらって来ました。」
本藤「1ヶ月位前に私は通りすがりに知ったんですけど。よくあるイベントなのかなと思っていたんですけど、そんなもんじゃないよって言われて。大分にアーティスト三人も来てくれるなんてめったにないよと聞きまして、笑。」
――今日参加してみていかがでしたか?
斎藤「前にドラムを習っている人に、鍵盤も習ったほうがいいよって言われていて、MASUOさんのドラムのキーについてのお話を伺ってその理由がわかったというか、つながった気がしました。プロのアーティストに直接話しを聞いたりとか、教えてもらったりとかする機会ってなかなか無いのですごい勉強になりました。」
――アーティストの方も初めての試みが多くて、色々発見があるようですね。主催の方も動員関係なく粘り強くやっていくとおっしゃっていましたが。
斎藤「ほんとに毎年来て欲しいくらいですね。福岡とかにドラムセミナーを受けに行ったことは何回かあるんですけど、こんな大きなライブハウスでは初めてで、交通費もかからないなんてもっと人が殺到するのかと思ってましたけど、大分のドラム人口が少ないのか、伝達できていないのかな。」
――でもみなさん、かなり積極的に質問されていてほんとにドラムうまくなりたいんだなと言うのが取材してて伝わってきました。
斎藤「ドラムセットの素材の話もすごく面白かったです。本で見たりとか聞いたりとか薄っぺらいとこしかわからなかったんですが、実際に作り方や音の違いを見て、感じて、聴き比べとか出来たので良かったです。ここらへんは楽器店も少ないので。」
――では、サカエドラムに対して一言頂いてよいでしょうか?
斎藤「毎年大分に来てください、笑。熱望してます。次も絶対行くので。明日の福岡も行きたいくらいです。」
参加アーティスト澤村小夜子氏(ねごと)インタビュー!
終演後、打ち上げにて出演アーティスト澤村小夜子(ねごと)にインタビューを行った。MASUO氏、シシド氏については福岡編をお楽しみに!
今回 feel the SAKAE参加されていかがでしたか?曲の合間に解説などを挟まれていましたが今までのfeel the SAKAEでは見なかったシーンでした。
澤村「私は大喜多さんとThrough the Toneのイベントの方で2回ほど参加していて、大喜多さんが説明されていたので、そうしたほうが良いかと思ってこちらでもやりましたね。今日他のアーティストが解説をされてなかったので逆にびっくりしました。」
辻(サカエドラム)「グッドジョブ!あれでよかったよ。」
澤村「よかった、笑。あんまり難しいことがわからないから感覚で捉えていることしか言えないですけど。」
――別々にやってたやり方がミックスされた感じですね。新鮮でした。他にもMASUOさんが一般のお客さんのスネアをチューニングしたりとか、練習方法を教えたりとかも初めてで面白かったですね。
澤村「いいですよね。私のスネアも持ってきてやってもらえばよかったです。大体教えることって基礎的なことでもやってるだけでも一時間ちょっとぐらいは喋れるんです。」
――澤村さんもドラム講師をされたことがあるんですか?
澤村「私は一度しか無いですね。その時は一時間半の授業を二回やって超疲れました。イメージトレーニングとか、感覚的な説明とかになって生徒さんには役に立ってるのか、申し訳ない気持ちに。」
――MASUOさんが今日教えているのを見てどう思いましたか?
澤村「ああ、そうだなって思いました。私も一緒だなって思いました。わりとチューニングの仕方も考え方も似てるなと。絶対音感があるのでチューニングには割と苦労してなかったんですが、でも改めて大丈夫だって自分に言い聞かせました。色んなテックさんがいるのでやり方も色々あって、手触りだけでやる人がいたり、面白いですよね。」
――澤村さん的にドラムのセミナーを通して変わってきたこととかってありますか?
澤村「色んな経歴の人がいて、ドラム歴1ヶ月の人とか、15年もやってますという人とかね。両方に満足してもらえるようにあまり難しすぎず、でもはっとするようなことを感じを出せたらいいなと思いますね。」
後藤(司会)「今日の説明2拍3連の説明は良かったね。」
澤村「私、あまり説明してないですよ。実演してみただけで。」
後藤(司会)「実際の曲の中でどこに使われているか説明してたので、他のカフカさんとかMASUOさんの曲の中でもそういうフレーズがあったし、入れ方っていうのに個性があって面白かった。」
中略 ――これからどんなドラマーになっていきたいですか?
澤村「バンドとしてはユニコーンみたいになりたいですね。みんな歌うし曲も作るし、楽器交換してもバンドがユニコーンとして成り立つみたいな。ねごとはみんな楽器好きだから、8時間ぐらいリハしても全然休憩しないんですよ。休憩が20分位になるとみんな別の楽器を触りだしたりするし、そういうのをライブでもやってみたいなって思いますね。まだスキルが足りないけど。」
――ドラマーは川西さんでしたよね、確か半世紀少年という曲でラップも披露されてましたね。
澤村「えー!そんなことまで!やっぱりなんでもできちゃうんですね。」
――では最後の質問になりますが、サカエドラムに対してこれから求めることってありますか?
澤村「うーん。今のマークで名前が変わらければいいかな。音はもう満足してます。透明感がなくならないで欲しい。」
――透明感というと?
澤村「サカエのドラムってすごい透明感がありませんか?色とかじゃなくて音に関して。やっぱりビンテージドラムとかになればなるほど、色んな音が入っているように聞こえて、いい意味で汚いというか泥臭い音に鳴るんですけど。ラディックとかグレッチとか。サカエはダークな透明感っていうかそういう音にすごい惹かれたので。」
――サカエのドラムの音って、エネルギー感と濁りのなさっていうのは確かに感じますよね。
澤村「そうそう。濁りのなさなんですよね。ねごとって歌詞的にも宇宙のこととかが多いから。宇宙の透明で真っ暗な感じのが欲しくて、サカエに出会った時にこれだって思いましたね。」
――自分が叩いてて気持ちいい音が欲しいって言うよりは、楽曲が求める音って言う感じですかね?
澤村「どっちもかな。気持よく叩けないと気持ちが入んないんですよ。ライブも楽しくないし、ポンコツなドラム叩いてると全然気分が盛り上がらないです。ダメなスタジオにおいてある鳴らないドラムとか。いい音で叩けるのはすごい嬉しいです。なのでこのインタビューを見てる人にもぜひサカエドラム使って欲しいですね。」
――ありがとうございました! 次回は福岡編です。お楽しみに!!
取材・テキスト・写真 イナイマナブ(4649drum.com)